アメリカの典型的なビジネススクールのプログラムは8月または9月から始まって、2年後の5月または6月に終わる1年10ヶ月のコースです(このうち6月~8月の約3ヶ月程度の夏休みが含まれます)。
Simon Schoolでも9月入学(1年10ヶ月の履修期間)が多いのですが、Simon Schoolでは1月入学(1年6ヶ月の履修期間)を選択することができます。これは9月に入学した場合と全く同じ卒業要件(同じクラス、科目数)を、夏学期(7~8月)を活用するなどして短期間で履修し、9月入学の生徒と同時に卒業するという履修期間に設定されています。夏休みも活用したい、夏の3ヶ月をダラダラ遊んで過ごすのもちょっと・・という社費派遣の方などに人気が集まるコースです(ちなみに夏学期を履修しても1ヶ月の夏休みがありますのでご安心ください)。ELUSCプログラムを組み込む場合には10月からのスタート、1月からのMBAプログラム開始というスケジュールになります(9月入学のケースでELUSCプログラムを組み込む場合は7月~8月スタートというスケジュールです)。履修期間により入学時期が異なりますので、応募時点で入学時期を決める必要があります。
以下、1月入学の場合についてご紹介します。
1月入学のカリキュラム概要
まず、最初にこのプログラムを見たときの学生の感想は、「こんな短期間に1年10ヶ月のMBAと同じ科目数を取ることなんて可能なのか?」というものです。答えは、
「可能です。長期の夏休みに休んでいるか、科目を履修するかの違いしかありません。」しかも、夏にインターンもできます。(インターンの詳細後述) 要するに夏休みを有効活用するか否かとなります。
夏休みの3ヶ月を有効活用できるのは、Simon SchoolがSemester制ではなくQuarter制を採用しているため効率的に履修することが可能になるからです。全米のTop30ビジネススクールで、1月入学があるのは、SimonとColumbiaがあると思いますが、ColumbiaはSemester制を採用しているため、夏のインターンはできなかったと思います。その点、Simonの1月入学は、非常にFlexibleだと言えます。
1月入学のクラス概要
1月入学のクラスは、毎年約40-50人程度です。通常、9月入学のクラスは"Blue cohort"、1月入学のクラスは"Red Cohort"と名づけられ、1年生の間は全コアクラスをこのクラスで受けます。クラスサイズがやや小さいので、生徒同士の結束力はとても高くなり、沢山の友達が作れます。 2年生になってもこの絆は強く、毎試験後にはRed CohortでのPartyが開かれます。クラス構成は9月入学よりもややInternational studentsの比率が高い傾向があったようですが、最近では9月入学と同等です。
学生がなぜ1月入学を選ぶかについては人によって様々です。以下は、よくある事例です。(日本人に限りません。)
- 他のB-schoolに前年の9月入学で入っていたが、自分に合わなかったため、やめてSimonに来た。
- 来年の9月入学を目標に準備していたが早く準備が完了したので、志望度の高かったSimonの1月入学を受けた。
- 9月入学を目標としていたが、仕事が忙しく準備が間に合わず、1月入学を探した。
- 夏休みの3ヶ月を遊んで過ごしたくなかった。
- 9月入学で受験したが、Admissionから9月入学の枠は既に埋まってしまったが、1月入学にはまだ空き枠があるから来てくれと言われた。
- 1年10ヶ月の通常のMBAは長すぎると感じたので、1年半や1年で修了できるMBAプログラムを探していた。
1月入学の長所、短所
<長所>
- 1年目がやや大変だが、短期間でMBAを終わらせることができる。
- クラスが小さいためクラスメイトとすぐに仲良くなれ、結束力が強い。 多くの友達を作れる。
- 10月から始まる秋のELUSCを履修する場合、秋の気候のいいときに生活のセットアップを行えて快適。
- 社費派遣の場合、夏休みを有効利用できる。ロチェスターの夏も楽しめ、クラスも履修できる。
<短所>
- インターンをした場合、2年生になっても毎学期4科目を履修しなければならず、Workloadがあまり楽にならない。そのため、CFAやCPAなどの試験を受ける場合に、勉強時間を確保するのが難しい。
- インターンに制限がある。(詳細後述)
- ELUSCプログラムを組み込まない場合、学期は冬から始まるので生活のセットアップがやや大変。(雪の中でのセットアップは結構しんどい。クリスマス休暇前後は公共機関がストップするため手続きが思うように進まない。)
インターンについて
Class of 2006のRed Cohortでは、約半数がSummer Internをしていました。そのうちの半数は、RochesterにてInternをし、同時に授業を1コマか2コマ取っていました。 Class2008は1月入学が6名(9月入学が4名)で4名が夏期のクラス履修、2名が日本でInternshipをしていました。
1月入学でインターンをする場合についての注意点は、以下の通りです。
1) International students (F-1 status) は、アメリカでのインターンは、原則としてできない。(アメリカでインターンをするためには、入学してから9ヶ月以上経っていないできないことになっているため。)ただし、入学前の英語研修(ELUSC, 10月-12月)に参加すれば、 インターンは可能。また、学校がInternational students用にRochesterのLocal companyとCEIS ProgramというSummer Internship Programを運営しているので、そのプログラムを通して、RochesterのLocal companyでのインターンは可能。(Kodak, Xerox, Bausch & Lomb… etc)
2) 上記のスケジュール表の通り、Internshipをすると2年生でのWorkloadがややキツくなります(2年目の秋学期以降4クラスの履修です)。それでも1年生のプログラムの重さに比べたら、まだラクなので、心配する必要はありません。
1月入学として過ごした感想
(Class of 2006, 2007, 2008)
- 9月入学と同じようにアメリカでの生活を楽しむことができ、かつクラスの結束力高さやアメリカ人学生とすぐに仲良く慣れるなど、1月入学でよかったと思う機会がよくあります。
- 9月入学に比べて1年目のクラスサイズがやや小さいため、クラスで発言する機会を多く持つことが出来ます。英語に不慣れなためにややもすると発言できないで過ごしがちですが、この発言しやすい環境は非常に貴重だと思いました。
- 夏休みを有効利用できてよかったです。旅行も楽しめて、Rochesterの夏も満喫できて最高でした。
- International Student比率が若干高いため(年による)、Internatinal Student がリーダーシップを発揮できる機会が多いのもプラスです。
- 学校自体がSmall Schoolなので9月入学の生徒との距離もなく、クラスにはすぐに馴染める上、結束力の強さ、プログラムの早期終了等、1月入学を選んで正解だったと感じています。
- 1月でも9月でも入学のタイミングに関わらず、2年目以降は全く同じ状況になります(履修終了した科目も同じになり、2年目以降同じ数の選択科目を自分で選択することになります)。違いと言えば1年目のコア科目を短期集中で履修することだけなのですが、コア科目というのは会計やマーケティングなどの本当に基礎科目なので自分にとっては短期で終えることができて1月入学を選択して正解でした(夏学期を履修する場合)。
- クラスメイトとの結束力の強さのみならず、同じ1月入学の2年生からも、勉強面や生活、インターンなど就職活動等、様々な点で手厚いアドバイスやサポートをしてもらうことができ、学年を超えたつながりも強く心強い気がします。
最後に
最近では欧州の1年制MBAプログラムの注目の高まりと共に、人気の高まっているSimon Schoolの1月入学のプログラムですが、これらの情報が皆様のお役に立てば幸いです。
Simon Schoolの場合、Final Roundで出願してもApplicationをきちんと見てくれます。最後の最後まで決してあきらめず頑張ってください。